【 隣組を含む選挙妨害 】
更に選挙を有利に進める為に、政府は「隣組」を利用しました。
そして、隣組とは、
約10軒(の家)毎に、全ての国民を統制した地域組織
です!
今で言う所の、町内会の小さいバージョンのイメージです(笑)

そして、隣組を「単位」として食糧の配給や回覧板を回し、空襲に備えた訓練もさせました。
更に、翼賛選挙の下では、隣組の組長は次の文章を読む事を「義務付け」られました、、、
『 大東亜戦争を勝ち抜くための 翼賛議会を築き上げるのです あなたの一票は弾丸の一発に当たります 必ず間違い無く 最適有為の人物に投じられねばなりません 』
勿論、『 最適有為の人物 』とは、政府の推薦候補を指しています。
そして、隣組の構成員に対し、
非推薦候補に投票する人は「非国民」という・・・
印象操作やレッテル貼りの「空気」を醸成した・・・
という事です。

【 泥沼化する戦争 】
非推薦候補として、選挙を戦い抜いた一人が齋藤隆夫でした。
齋藤は男子普通選挙の実現に奔走し、衆議院選挙に9回当選していました。
そして、翼賛選挙が行われる2年前の1940年、日中戦争が長引く中、齋藤は国会で1時間半の質問演説を行い、
政府と軍部を追及(批判)
しました。
しかし、齋藤の演説は与党議員のヤジでかき消され、物議を醸しました。
すると、演説から1ケ月後に、
齋藤は衆議院から除名
されました。
こうして、齋藤は非推薦候補となりました。

更に、齋藤が選挙演説を行う際も、政府や行政(関係者)から横やりが入り、他にもポスターの没収など様々な妨害を受けるものの、見事に当選しました。
しかし、全「466議席」の内、
推薦候補が「381議席」
非推薦候補が「85議席」
との選挙結果となりました。
こうして、
東条英機を支持する翼賛議会が誕生し・・・
310万人の死者を生む・・・
戦争の泥沼化へ突き進んだ・・・
という事です。
そして、政府と軍部に荷担した、
メディアも同罪
でした。

【 戦後初の女性参政権の裏に 】
1946年4月、戦後初の選挙が行われました。
そして、この選挙で初めて、
満20歳以上の男女に選挙権が付与され・・・
女性の立候補も可能になった!!!
という事です!
そして、女性参政権運動の中心となったのが市川房枝です。
その市川が「1925年」(男子普通選挙の法律改正時)に掲げたのが、
《 婦選なくして真の普選なし 》
というスローガンでした。
しかし、翼賛議会の下で、市川は女性参政権を早期に獲得する為に「翼賛選挙貫徹婦人同盟」の代表者となり、政府が押し進める戦争に協力しました。
このような、紆余曲折の過程も「踏み固め」ながら、終戦後の1945年に女性参政権が認められました。

しかし、
それ迄の世の中や社会の空気「感」から・・・
当然と言えば当然の如く・・・
女性の政治に対する「意識」は低かった・・・
のが実態でした。
ところが、実際に戦後初の選挙が「蓋を開けて」見ると、
女性の投票率が「67%」という・・・
予想を上回る結果!!!
となり、同時に「39人」の女性議員も誕生しました!

ちなみに、市川は翼賛議会の下で戦争に協力した事を理由に、この時の選挙では立候補せず、食糧配給などの身近な問題を取り上げ、女性の政治参加を「促す裏方」に回りました。
そして、後に参議院選挙に出て当選しました。
では、番組は終了し、中締めとして「現実的」な視点に少し触れます!
【 改めて見つめ直す 】
「今」の多くの日本人にとって、民主主義は普通で当たり前と感じている事でしょう。
そして、当然ながら、民主主義も完璧な制度ではありません。
そして、民主主義では、
言論や内心や思想などの自由がある
のが、普通で当たり前と思われています。
更に、
男女平等の普通選挙制度がある
のも、普通で当たり前と思われています。
そして、一番多い「思い込み」が、
民主主義の一番の特徴が多数決
という事かもしれません(笑)

しかし、民主主義の下でも、
独裁は可能
というのが事実です。
なぜなら、
如何なる内容の法律でも・・・
多数決で可決と成立が可能!!!
だからです!
しかし、民主主義の「本当の意味」は、
少数派の意見も取り入れる為に議論を熟し・・・
ひとまず決定して動き出すと同時に・・・
更なる見直しや改善の為に・・・
不断の議論を熟し続ける・・・
という姿勢です。

そのような視点から、今の民主主義を眺めた時に、
あなたの目に映るのは・・・
民主主義の正の面・・・
民主主義の負の面・・・
どちらが多いですか???
なお、私は民主主義を否定している訳でも全くなく、他の主義を肯定している訳でも全くありません(笑)
ただ、今回の選挙制度という視点を突き詰めると、
全ては投票する国民次第・・・
という事実に行き着きます、、、
そして、この事実(全ては国民次第)を、
普通で当たり前と思った事はありますか???
、、、(笑)

では、メタファー(物語や比喩・暗喩)として、漫画本『 三丁目の夕日 夕焼けの詩 』(作:西岸良平、小学館)から第35巻掲載の「 地球最後の日 」を少し眺めます!