【 被爆者の声を無視する日本政府(国) 】
1960年代に入ると、トロトラストを注射された元軍人の体の異変が、「相次いで」報告される事態となりました。
多くの元軍人が発がんし、その後すぐに急死するケースが後を絶ちませんでした。
患者と家族はトロトラストによる被爆を疑い、国に調査と救済を求めるものの「なしのつぶて」でした。
そして、1970年代に入ると、原爆投下により被害を受けた被爆者が、国家補償を求める動きが相次ぎました。
すると、1976年にはトロトラストによる健康被害を訴える元軍人も、改めて一斉検診や医療費負担を求めるなど、旧厚生省に要望書を提出しました。
しかし、「この期に及んで」も国は調査を渋りました。

すると、「メディア」がトロトラストと発がんの問題を取り上げ始めました。
そして、ようやく国は1977年と1978年度に、「元軍人のみ」を対象とした検診を行いました。
ただ、国はトロトラストの体内への沈着が認められた場合に限り、補償の対象とする方針を出しました。
しかし、これは「裏を返す」と、
ガンなどを「発症」しない限り補償を受けられず・・・
仮に発症すると「急死」する(そのケースが多い)という・・・
「本末転倒」の事態・・・
を引き起こしました。
勿論、民間人は対象外と言うよりも、国から完全に「無視」されました。

そして、番組では「現在の」厚生労働省に、民間人の調査をしなかった理由を問い質した所、
分からない
と回答しました。
更に、本年(2025年)の7月17日、同じく番組が記者会見の場で「現在の」厚生労働大臣に、国が被害の全貌を「今から」でも調査すべきではと問い質しました。
厚生労働大臣:
『 カルテ等の大部分が滅失しているとされているので、トロトラストを注入された民間の方が受けた被害の全体像の確認は困難と考えているが、現在、進められている民間による調査の進捗を注視をして参りたい。 』
ちなみに、ここは私個人のコメントですが、『 民間による調査の進捗を注視 』とは、
どこまで「無責任かつ無関心」を装うのか・・・
と感じます、、、

【 国民あっての国家であるにも関わらず 】
先ほどの1977年と1978年度の調査により、医療費を補償されたのは、あくまで元軍人のみという「枠組み」であるにも関わらず、
推定3万人の内の、122人のみ
でした。
そして、調査と補償の対象を「狭めた(限定した)」事に対し、当時の「内状」を知る、旧厚生省の元官僚が「匿名」で番組にコメントしました。
元官僚:
『 やっぱり、色々波及するよね。 トロトラスト(の調査と補償)をやると、他(の案件)にもね。 歯止めがない。 (トロトラストの調査と補償を)やったら、こっちも(他の案件も)やらざるを得ない。 そういう事は心配したし。 』
この頃、原爆投下による被爆者の支援は然り、薬害によるスモン訴訟など、国は多くの補償問題を抱えていました。
そして、国としては「耐え忍ぶ時期」だったのかと問われると、元官僚は次のようにコメントしました。
元官僚:
『 そういう事ですね。 国家補償、金額がドンドン上がっている。 その当時は大変だった、それがね。 当時はもっとたくさん、潜在的には(トロトラストを注射された人が)いたかもしれないけれど、だんだん亡くなっちゃえば分からない。 消えちゃったら。 』

【 裏に隠された国の真の動機 】
1980年、残存する患者のデータを利用し、国が「ある研究」を押し進めていた事実も判明しました。
それが、旧文部省から2億円以上の補助金を受け取り始まった、《 トリウム燃料に関する総合的研究 》でした。
つまり、
患者のデータからトロトラストの主成分のトリウムを研究し・・・
原子炉の燃料として活用する国家プロジェクト・・・
でした、、、
そして、ウラニウムなどの核燃料が、アメリカとソ連に独占されていたが故に、代替燃料という研究でした。
確かに、この研究も「今では」原子炉で事故が起こったり、作業員が被爆した際のリスク管理に役立てられている側面もあります。
しかし、当時の研究に携わった「たった一人」の委員からは、
患者にとっては、治療でも補償でもなく・・・
人体実験というモルモット扱いでは・・・
との非難も出されました、、、

そして、先ほど紹介した『 遺族はトロトラストに関して一切聞かされず、解剖や死因結果も知らされないケースもありました。 』の箇所が、ここで繋がります。
つまり、患者にも遺族にも、検診結果や解剖データに関し、
原子炉の研究の為という理由も知らされず・・・
故に、結果も知らされなかった・・・
という事実です、、、