心が置き去りにされている現代 ~コロナ禍の精神科病院から~

そして、番組の取材を通して、他の病院でも大部屋への隔離や、医師が診察もせずに患者さんへの身体的拘束をしていたりなどの法令違反行為が行われていた事も分かってきたそうです、、、

そして、日本精神科病院協会の調査では、精神科病院の陽性患者の内の6割が他の病院に転院出来ず、治療を充分に受けられていなかった事も判明しました、、、

と、今回ご紹介する趣旨におきましては、ここで大半の内容は終了になりますが、番組でも触れられていた点を少しだけ補足の意味で続けさせて頂きます。

 

先のX病院の医療スタッフの方の『 精神科特有の環境ですね。 』との言葉にも「反映」されているように、このような状況(事態)の原因となっているのが、1950年代から始まった国による

 

○ 隔離収容政策の推進
○ 安上がりにする医療体制の構築
○ 退院を出来るだけ推奨しない

 

などが挙げられておりますが、この【 安上がり 】という側面には、民間の精神科病院の配置基準は一般病棟と比べ医師数は3分の1で良い、看護師数は3分の2で良いとなっており、平素から人手が足りない上に、このような医療従事者の方々も感染してしまうと、もう人手が廻らなくなるのは「火を見るより明らか」です。

また、【 退院を推奨しない 】という側面には、中には暴力を振るったりなどで、家族だけでは対処出来ない側面なども含まれており、そのような際には専門の病院にお任せする事も大切で必要な事であるのは勿論ですが、やはり、社会における偏見や差別の目なども大きく深く関係しています。

と、このような背景に関しましては、2018年3月17日のTOPICS『 精神病棟の実態・・・? ~番組「長すぎた入院 精神医療・知られざる実態」から~ 』におきましても、「別の視点」を交えてお伝えしておりますので、宜しければ参照してみて下さい。

 

では、最後に松沢病院における、お二人の方のお言葉をご紹介して参りますが、これは現在のコロナ渦に限った事ではなく、このお二人の方におかれましても、以前(平素)から感じ続けていらっしゃる事であろうと、私個人としては捉えております、、、

 

松沢病院の精神保健福祉士の方:
『 こういう(松沢)病院が無くなったら、あの人達(患者さん達)の居場所は本当に無くなるなって思う。
  で、何かあった時に結局家族に押し付けられるでしょう、みたいな。
  精神病院にもいられなくて、地域にもいられないってなったら、もう見えない所に行って下さいって話になっちゃうじゃない。
  それもちょっとねぇ、、、
  だから(精神科病院は)必要悪なの?
  もう分からなくなってくるよね、、、 』

 

松沢病院(当時の)院長の齋藤正彦 医師:
『 この(松沢)病院にコロナウイルスの感染の為に送られて来た人って、社会的にね、すごくパワーの無い人ばっかりだったの。
  守ってくれる家族もいないし、家も無い、長いこと精神科の病院にいて、社会から全く根を切られちゃったというかね。
  世の中に何かが起こった時に、歪(ひず)みは必ず脆弱な人の所に行く
  社会には弱い人達がいて、僕らの社会はそれに対するセーフティーネットをどんどんどんどん細らせているんだという事を、もう一度思い出すべきなんだよね、、、と僕は思う、、、 』

 

そして、この番組においては、精神科病院でのクラスターの実態を示すデータは存在していないが、番組側と専門家(大阪精神医療人権センター)との独自調査では、感染者が発生した精神科病院は145、感染者は4,600人以上と結ばれておりました、、、

 

では、長々とお付き合い頂いて誠に有り難い限りですが、私からのシンプルな締め括りに入らせて貰う前に一言だけ!