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目標は大きく、歩みは小さく ~エリクソンの症例から~

こんにちは。
レイキ ヒ-ラ-&ヒプノセラピストの瀬川です。

 

11月も中盤を過ぎようとしていますが、この時期になると、来年に向けて新たな準備を始めようと思い立つ方もいらっしゃるでしょうし、あるいは、今の状況や悩みや症状などを少しでも改善して素敵な新年を迎えたいと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は「目標は大きく、歩みは小さく ~エリクソンの症例から~ 」というテ-マでお届け致します。

 

ところで、先日はス-パ-ム-ン(月)の観測が話題となっていました。
これは月が地球に最も接近し、普段より大きく光り輝いて見える現象です。
今回のス-パ-ム-ンは68年振りとのことで、次回は18年後ということだそうです。
私も観ましたが、一番大きく見える午後8時21分の月よりは、その前の午後6時頃に観た月の方が迫力があるように感じました。

 

そして、ほんの数十年前に人類は月という場所に降り立ちました。
皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれませんがアポロ計画というものです。
そして、その舞台裏を描いた映画の一つに「アポロ13」という作品があります。
今回は映画のご紹介ではないので詳細は省きますが、この映画の中で描かれている一場面を簡単に説明します。

 

月に向かう宇宙飛行士達が、出発前に親睦とミッションの成功を兼ねてパ-ティ-を開いていました。
そして、ある宇宙飛行士が話します(なお、以下は劇中のセリフではなく、話した内容の趣旨です)。

 

今、自分達がいる場所から見ると、月は親指で隠れてしまうほど小さなものだ・・・

 

と。
この宇宙飛行士達は月に向かうには困難もあり、簡単に到達出来るものではないことはよく理解しています。
それだけ月というのは大きく遠い場所であると。
この場面ではそれを理解しつつも、自分達を鼓舞する意味での暗示として話しがなされています。
どれだけ大きく遠い場所であるとしても、自分達にとっては、親指で隠れてしまうほどの簡単なミッションである・・・と。

 

では、ここで皆さん自身の目標を思い浮かべてみて下さい。
どんな目標でも構いません。
中には実現不可能と思える目標もあるかもしれませんが、それでも構いません。

 

それでは、進めて行きます。
目標というのは大きければ大きいほど実現の可能性が高まるという一つの側面があります。
それは、

 

目標が大きければ大きいほど、方向性を見定めやすい(方向性を見失わない)

 

という側面です。
例えば、「岩木山の神社を目指しなさい」「富士山にある祠(ほこら)に向かいなさい」と指示されたとします。
現代であれば色々な方法でル-トを探すことは出来ますが、何もない場合ではそうはいきません。

 

では、「岩木山を目指しなさい」「富士山に向かいなさい」と指示されたらどうでしょうか?
遠く離れた場所からはひとまず東西南北を定めて向かうことと思います。
そして、微かにではあっても、実際に岩木山や富士山が見える範疇まで辿り着いたらどうでしょうか?
そこから先の道は、

 

方向性がハッキリする(方向性という意味での道に迷うことはない)

 

という安心感が生まれてくるかと思います。
小さく見えるということは、それだけ遠い所にあるという意味合いにもなりますが、目指す方向はすでに分かっています。
そして、徐々に大きく見えてくるということは、それだけ近づいているという目安にもなります。

 

船においても、潮の流れなどが速い箇所は迂回したりして進んで行きます。
飛行機においても目の前に積乱雲などが発生していれば、同じように迂回したり、あるいは、高度を上げたり下げたりして進んで行きます。
しかし、

 

どのような状況でも進んで行けるのは、方向性がハッキリしているから

 

です。
そして、方向性を定めてくれる羅針盤にとっては、目標が大きければ大きいほど進みやすいということも意味しています。
ここまでが、「目標は大きく」の箇所になります。

 

では、「歩みは小さく」に移ります。
目標に至る道は人それぞれ様々あります。
また、手段も様々です。
山に向かうに際して、車で向かう人もいれば自転車で向かう人もいるでしょうし、徒歩で向かう人もいます。
当然、歩みの幅も速度も人それぞれ違います。

 

それではここで、このTOPICSでも幾度か取り上げている、稀代の催眠療法家と言われているエリクソンが扱った一つの症例を簡単にご紹介します。
そして、これは実際に起こった出来事、つまり、実話です。
(なお、このお話は「ミルトン・エリクソン心理療法〈レジリエンス〉を育てる」(著:ダン・ショ-ト、ベティ・アリス・エリクソン、ロキサンナ・エリクソン-クライン 訳:浅田仁子 (株)春秋社)から抜粋しておりますが、これ以外の症例も多数掲載されています。)

 

11年間もの長い間、激痛を伴う関節炎で麻痺に苦しむ男性がいました。
この男性は麻痺のため車いすの生活を送っていましたが、頭だけは動かせました。
あとは、片方の親指をわずかに動かせるだけの状態でした。
そして、この男性はその間ずっと自分の不幸な人生を呪って日々を過ごしてきました。

 

そのような状況のもと、この男性はエリクソンに会いにきました。
すると、エリクソンはこの男性に対して、あなたは運動不足だと叱責しました。

「動かせる親指があるのだから、それを動かさなくてはいけません!毎日その親指を動かす練習をして、時間をやり過ごすんです!」

 

当然のことながら、男性はこのようなエリクソンの言葉に頭に来てしまいました。
そこで、親指を動かし続けることくらい簡単なことだが、それで何の解決にもならないことをエリクソンに証明してやろうと決意して、以後、親指を動かし続けていました。

 

ところが、親指を動かし続けているうちに、ふと、人差し指もかすかに動くことにこの男性は気づきました。
そして、その後も親指を動かし続けていたところ、他の指まで動かせるようになり、この男性はそのことに興味を持ち、この運動を続けていきました。
すると、やがて手首が動かせるようになり、腕まで動かせるようになりました。

 

このような、エリクソンとの対面から1年後に、エリクソンはこの男性にペンキを塗る仕事をするよう指示しました。
ここでもこの男性は、以前よりは動かせる範囲も広がったとは言え、そのような仕事を指示するとは!?と憤慨しました。
しかし、当初の何の解決にもならないことを証明してやろうとの決意の元、男性はペンキ塗りの仕事を3週間かけてやり終えました。

 

そして、ペンキ塗りをやり続けているうちに、仕事のスピ-ドが速くなってきたことに気づきました。
そして、ペンキ塗りをやり遂げると、トラック運転手の仕事がこの男性の元に舞い込んできました。
そして、運転をしているうちに、運転手の組合に加入することになり、ほどなくして、その組合の長に選ばれました。
その後もエリクソンとの対面は続いていましたが、この男性は自分には教育も必要だと考え、大学に通うことにもなりました。

 

この男性の関節炎の重い症状は幾つかはまだ残ったままでした。
梅雨時期になると関節が痛み、1週間ほど仕事は休まざるを得ない状態でした。
しかし、この男性にとっては、残っている関節炎の症状は、再発として捉えられたのではなく、仕事の骨休めとして「良い休暇」を生みだしてくれるものとみなされるようにまでなりました。

 

以上がこの男性に本当に起こった出来事です。
そして、このような男性に起こった実際の出来事に対してエリクソンは以下の通りお話しています。

「 私が思ったのは、もし親指を動かせるなら、それに繋がっている関節も動かせるだろうし、その関節を動かせるのなら、それに繋がっている隣の指も動かせるだろうということ、そして、そのように少しずつ動かせる部分を増やしていけるだろうということだった。 」

そして、この男性の未来に関してはよく分からなかったことを認めつつ、

「 1年後に彼が車いすを降りて、トラックを運転出来るようになっているかどうか、私には全く分からなかった。しかし、彼はそれまで悪態をつくことに無駄に費やしてきたエネルギ-を全て、親指を動かす練習、その他の指、腕を動かす練習、しまいには体を動かす練習に注いだのだ 」

 

この男性は何も目標を持たずに、ただ、親指を動かす練習をし、次第に他にも動くようになった指や腕へと、出来る範囲の練習を続けていっただけです。
当然、運転手になろう、大学に通おうという「大きな目標」は頭にはありませんでした。

 

エリクソンは未来に関してはよく分からなかったとコメントしていますが、本音の所は分かりません・・・
最初の対面で車いすの生活を送っている彼に対して「運動不足だ!」と叱責した所から、エリクソン自身は社会復帰は可能という「大きな目標」をすでに見定めていたのでは?と個人的には思いますが・・・

そして、この男性が行ってきたこと、そして、エリクソンが指示してきたことは、

 

出来ることを行うという「小さな歩み」

 

だけです。
よく、目標が大きすぎて何をして良いのか分からない、あるいは、目標が遠すぎて途中で挫折してしまう、というお話をよく聞きます。
しかし、ここでの「大きすぎて」「遠すぎて」というのは、おそらく、

 

「目標」ではなく「歩みの幅」

 

のように感じます。
つまり目指しているのが大きく遠い所ではなく、そこに近づいていくために「今」出来ることの設定に無理があるからかもしれません。
100メ-トル走などでも、以前は10秒を切るのは夢のまた夢と言われていました。
しかし、現在ではトップ走者は10秒を切るのが当たり前になっています。

靴の改良や練習方法などの進歩も寄与していることと思いますが、おそらく、そこで練習を積み上げてきたアスリ-トは、

 

0.01秒を縮める、などのように達成可能と思われる「歩みの幅」

 

を自らに課していることと思われます。
そして、そのような出来ることの積み重ねが10秒を切ることを可能にしたのかもしれません。

 

夢のまた夢である「大きな目標」に対して、「小さな歩み」を設定することで成し遂げた

 

と言えるのかもしれません。
そして、そのような実現を成し得た先人を希望と励みにし、そして、目標にして、新たな記録の更新などに今後も繋がっていくことと思われます。

 

また、このような「小さな歩み」は様々な状況で活用することも出来ます。
例えば、不眠などでお悩みの方は、昨日より1分だけ長く眠るよう心掛けてみて下さい。
1分が難しければ10秒でも構いません。
ただ、そう思うだけで大丈夫です。

 

また、痛みなどの場合では、昨日の痛みより1%だけ痛みを緩和させてみて下さい。
1%が難しければ、0.1%あるいは0.01%でも構いません。
ただ、そう感じるだけで大丈夫です。

 

そして、それを明日も、明後日も・・・、と続けてみて下さい、、、、、
今回のTOPICSでは、スト-リ-や隠喩などのメタファ-という手法を多分に取り入れておりますので、皆さんそれぞれの感性の赴くままに、そして、様々に感じてみて下さい。

 

そして、「目標と歩み」という観点からですが、今回は「余談」ではなく「独り言」としてコメント致します。
先日、日本の総理大臣とアメリカの次期大統領が会談したと盛んに話題になっています。
ワイドショ-と化している一部の情報・ニュ-ス番組では、50万円のゴルフクラブを贈った、会談場所の〇〇タワ-の内部構造など、「?」の話題が繰り広げられています。

 

ある意味、17日の会談後の翌18日は多くのニュ-スで取り上げられるであろうことは予想されていました。
そして、翌18日には「駆け付け警護という新たな任務」が発出されました。
今だに9割以上もの憲法学者が「違憲」と唱えている法律を根拠として、実際に行動に移されています。
そして、この話題はほんの少し取り上げられているだけです。

 

意図して少なく報道しているのか?
あるいは、
18日はアメリカ次期大統領との会談が話題になると見込んで、わざわざ18日に新たな任務を発出したのか?

 

真相は分かりませんが、日本という国は、何を「目標」にして、どのような方向性に「歩み」を進めているのでしょうか・・・?

最初?となる今回の派遣は青森県内の自衛隊となっています。
そして、自衛官の県別の比率では青森県内出身者が1番多いとの統計もあるそうです。
勿論、これは青森県内であろうと県外であろうと同じ問題ですが、殺害・負傷されることなく、また、相手をも殺害・負傷させることもないよう祈るばかりです・・・
ただ、今回は大丈夫であっても、このような状況を継続していては、「まさか・・・」という事態が起こりえる可能性は否定出来ないのでは・・・と危惧もしています・・・

2016年11月20日 02:11

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